日々是好日

そのさびをつれづれなるままに

義実家物語~プロローグ 告知

入院中の義父のことで、エイコさんから電話が来た。病院から話があるので、家族に集まって欲しいのだとか。妻である彼女は簡単には聞いているのだろうが、あえて問い返さなかった。一言で済む筈なのに勿体ぶるから、相手をするだけ時間の無駄だ。彼女と話せば五分で済むことが何倍もかかるし、同じフレーズがループするのが常だった。

それに、彼女と話すことに時間を費やすより、義父の息子である我が旦那に知らせる方が先だ。旦那にはすぐメールを送った。既に夕方で外回りから職場に戻っていたようで、翌日に休暇を取ることを申し入れて了承された。義妹達とも連絡を取り、病院で落ち合うことにした。

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病院からの話というのは想像通り、癌の告知だった。最近になって消化不良と便秘が酷いので調べてみたら、癌の仕業だった、というわけ。

癌なんて手術で取り除けばいいじゃん、と私は楽観していた。しかし、義父は何年も前に倒れてから入院生活を送っていたのだが、麻痺があるため身体の不具合に気付くのが遅れたらしい。癌は既に腸から他の臓器にも転移していた。更に、長い入院生活で体力が落ちているので手術には耐えられない、というのが医師の見解だった。

病室の義父は前回見舞った時と変わりなく、ベッドで半身を起こしてテレビを見ていた。私達は扉の陰からそっと覗いた。物凄く久しぶりに来たという義妹一人が、通常の見舞いの振りをして面会することにした。義父は癌という病名も、身内が揃って集まっていることも知らない。

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