日々是好日

そのさびをつれづれなるままに

頑固対策

病院から家族に集まるよう要請があったのは、癌の告知以降、これが二度目。義父は元から酷い便秘らしい。加えて腫瘍が邪魔しているものだから、食べ物の消化も下剤の効きも悪い。前夜は詰まりに詰まって、トイレに何時間も篭っていたという。排出に体力を使えば、熱が出る。

熱が出れば本人は勿論、周りも大変……という病院側の事情までは言われなかったが、医師から二つの改善策を提案された。今後は食べるのを諦める、つまり栄養は点滴で摂るようにする。もう一つは、腫瘍で引っかかる前に排出すべく、胃の近くに人工肛門を作ること。

私達の意見は、義妹の「食べるのが好きな人だから、楽しみを奪うことになる。最期まで思う存分食べて貰おう」という一言で、人工肛門案に落ち着いた。義父は病院の食事に満足出来ず、間食用のパンをベッド脇に常備していた。私達が饅頭を差し入れた時など、どんだけ飢えてるんだ、と呆れるぐらいの勢いでがっつき、喉に詰まらせ、むせた挙句に戻しておじゃんにした……という、物悲しいやら笑えるやらの微妙なエピソードもあった。

医師、エイコさん、旦那と義妹が、義父に話をした。旦那は身内が揃って言えば、自分達の案を受け入れてくれると楽観していた。ところが、ベッドから起き上がる気力さえないといった様子でほぼ寝たきり状態の義父が、ぶんぶんと力強く首を横に振っている。そうしないと食べることすら出来なくなるかもしれないんだよ? と人工肛門案に誘導しようとするも、かなり意思が固いらしい。

仕方がないので、別の病院で(癌の、とは本人には言わないが)専門医に診せ、判断を仰ぐことにした。義父は本人の身体なのだから頑固に主張して当たり前だが、私達も結構強引だ。

 

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かくして後日、重篤患者搬送用の車に乗せられ、近くの総合病院に連れて行かれた義父であるが、専門医は義父を診察する前に「現状維持」の判断を下した。入院している病院が事前に送った資料を見てとのこと。これでは何のためにわざわざ本人が出向いたのやら、意味分かんないよ!

車で五分の近距離、本人は担架で寝たままとはいえ、負担になっていなければ良いのだけれど。

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