日々是好日

そのさびをつれづれなるままに

召集

朝起きて手早くシャワーを浴び、すぐに電話を確認した。着信は無い。パン一枚を食べ、美容室の予約時刻まではかなり余裕があるのに、身支度もばっちり整った。気持ちがまだ落ち着かないまま、とりあえず新聞を広げていた。

 

そこに自宅の電話が鳴った。いつもはのろのろと取る電話を、走って行って素早く取った。
「病院です。大変危険なので、ご家族の方、すぐに来て下さい」
電話の向こうは物凄く焦っている。こんな瞬間なのに、私からは疑問が飛び出た。
「そっちに昨日から一人残っているんですけど」
誰も居ないような口ぶりだったからだ。
「ええっ?」
「その人の息子(旦那)が病院の何処かに居る筈ですから探して下さい!」
私達がすぐに動いても、間に合わないかもしれない。誰も看取れないというのは避けたい。しかし、こんな時に旦那はどうしたのか。何も知らずに待合室で寝てるのか、それともトイレか、朝御飯でも買いにコンビニに行ってるのか。

看護士に頼んだからには旦那はとうに捕まえてくれていると信じて、電話を切った後に間髪入れず、エイコさんの携帯に電話した。病院から先に連絡が行くべき人だが、あらゆる電話を放置していたという事件もあったので、まだ知らない可能性も考えられた。
「電話来た?」
「今行くとこ」
「じゃあ後で」
それだけの会話で切った。

次に、義妹達にも念の為メールをした。二人は一緒でアイコ宅に居る筈だが、身支度に忙しい時間帯だから、とりあえずどちらかが気付いてくれれば良い。件名は「召集」。「危篤だからすぐ行って」と送り、私も家を出るため鞄を持った。直後、ケイコの方から「すぐ行く」と返信があった。

 

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家を出て、道をひた走る。電車に飛び乗り、ふーっと息を吐き、携帯電話を見返した。義母に電話をしたのは、午前九時ゼロ分。

私はいつ病院に着けるだろうか。その瞬間に……間に合うのだろうか。

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