日々是好日

そのさびをつれづれなるままに

形態を考えつつ業者選び

私の実父の兄は老年離婚した後、実父の援助と生活保護を受け、近年亡くなった。同じ市内に住みながらも実家を出ている私には、彼が墓に入った後で、亡くなったとの報告があった。故人は兄弟全員から自堕落な生活ぶりを蔑まれていたので、実父と隣町に住む弟の夫婦二組、たった四人だけで完結させ、私どころか遠方に住む故人の兄弟達すら――勿論彼等も納得済みで――事後報告だった。

病院から危ないとの報告を受けて見舞いに行ったが、次の報告は亡くなってからで良いと伝え、亡くなった後は霊安室で預かって貰い、法律で決まっている24時間後に火葬場に直行して焼いて貰い、その足で市内の墓に納めに行った、という按配らしい。墓は祖父母などは戒名と名前が刻まれ、彼だけは戒名無しの名前のみとなった。

これは極端な例だが、先立つものが無ければ葬儀無しもアリ、ということだ。「直葬」といい、近年増えているようだ。

 

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旦那は私と結婚する前に、ある冠婚葬祭会社の会員になっていた。親類から実体験を元に勧められて加入したのだが、既に満期となっており、使い道がなくてむしろ困っていたところだった。最も安い約20万円分の権利でも、最低限の葬儀は出せる仕組みである。

そこの会員であることは義父の癌が分かった時にエイコさんや義妹達には話してあるし、旦那が約20万円分を使ってしまっても、皆も助かるだろうし私も異論はない。義父のためにするのだから、何だかんだで義父を思っていた旦那も大いに満足な筈だ。

ただ、その業者は大きな葬儀を扱うイメージがある。倒れてから長かった義父の葬儀に来てくれるような仕事仲間や友人は少ないことが予想されていたので、私達は身内だけで小ぢんまり行おうと、以前から話をしてあった。

 

ともあれ、義父とエイコさんには貯蓄が一切無く、子供である旦那と義妹二人が金銭面の負担をするしかない。旦那が未だ義父の病室で意気消沈している状態なので、葬儀社との交渉は義妹ケイコに任せることにした。義妹達も旦那が打たれ弱い性質で頼りにならないことは承知していたし、嫁の私がこんな時ばかりでしゃばるより、実子の方がエイコさんも納得するだろう。

この時は「直葬」という言葉を知らなかったので、まずは旦那が加入している葬儀社以外の、「家族葬」を中心に扱っている幾つかの業者に電話してみた。何処の町が希望で、何人集まるのかを伝え、見積り額を教えて貰う。義父とエイコさんが住む某市は、会場を持つ業者が意外と少ない。二人は狭いアパートに住んでいて自宅での葬儀は無理なので、遺体を病院から葬儀会場へ直接運べることが前提である。篩い落とせば、会員ではないが故に50万や80万と、某社の20万円よりも遥かに高い金額ばかり。

結局、旦那が入会している葬儀社に依頼することにした。当然ながら急で手元に会員証もなく、住所変更もしていなかったり、会員である旦那ではなく義妹が電話したりと、とにかく不備だらけだったのにも関わらず、その葬儀社の対応はまさに迅速丁寧といった感じで、一時間ばかりで病院に来てくれた。

 

私と義妹達は病院一階ロビーの片隅で相談していたのだが、携帯電話使用可能な場所のため、人の出入りが多かった。葬儀の話などが聞こえ、嫌な気分になる人も居たかもしれない。しかし、重病人だらけの病室前でそんな話をしていたデリカシーの欠片もないオヤジに遭遇したことがあったので、それよりはずっとマシだろう。(しかも声大きいし、携帯電話使用不可の場所なのに病院側も咎めず。頻度は少なくても必ず需要があるのだから、いっそのこと専用部屋を作ってしまえば良いのに)

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