日々是好日

そのさびをつれづれなるままに

もやもや感

葬儀社が病院に到着してから間もなく、私達が居る一階ロビー片隅に位置するエレベーターから担架が降りて来た。流石にその後は正面玄関ではなく夜間緊急窓口の通路から裏口玄関に出たが、全身を白い布で覆われた、いかにも御遺体、が目の前に現れたら大抵の人はぎょっとするだろう。

亡くなってから二時間以上経つのに、病院からの「サービス」で清拭されて葬儀社が搬出するまで、義父は病室のベッドに居たままだったらしい。サービスとは先方が使った言葉だが、とても違和感がある。それに、病院では日常茶飯事かもしれないが、このようなことはひっそり行われると思っていたし、隣のベッドでやられたら堪ったものではないような。

義父は葬儀社のバンに収められ、エイコさんと旦那が同乗することになった。裏口玄関にはいつの間にか担当医師と看護士二人が立っていた。
「長い間お世話になりました」
私達はそれぞれ挨拶し、一緒にバンを見送った。私と義妹達が残され、ケイコは涙を流し、医師達に何度も何度も頭を下げ、繰り返し礼を述べていた。その姿にだけは、私もぐっと来た。

 

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病院から葬儀会場までは、アイコの車で移動した。ユウコ夫妻はいつの間にか自分達の車で出発したようだ。アイコとケイコ、私とで三人の車中、ユウコのことが話題に上った。

「ユウコさん、ずっと病室に居たんだよね」
「一階で殆ど姿を見てないから、多分そうだと思う」
「何かさー、これじゃどっちが本当の娘か分かんないよね」
「お葬式の打ち合わせにも来るつもりかな」
「私達より先に着いて、当然、って顔で待ってるよ。きっと」

エイコさんにとって実娘ユウコの存在は心強いだろうし、私達としてもユウコがエイコさんのケアを請け負ってくれるのは有難いが、ユウコは戸籍上では義父とは他人(の筈)である。微妙な気持ちを抱えつつ、まずは彼女の動向を探るしかないのだが、果たしてどうなることやら。

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