日々是好日

そのさびをつれづれなるままに

二つの形式

葬儀会場に着き、担当者との打ち合わせ。とにかくお金がないので簡素に、家族葬にする、とエイコさんが宣言した。一般葬で大赤字になった義父の兄の例があったからだ。しかし、資金が無いならば一般葬の方が良い、と担当者に説明されて成程とも思い、一般葬で行うことにした。

結論からすると、一般葬で大正解だった。新聞のお悔やみ欄ににも載せて貰ったので、エイコさんが住むアパートや近所の方々も来て下さった。連絡の取りようもなかった義父の旧友、昔の仕事関係者、戸籍が複雑な故にあちこち点在している遠縁の人もいたりで、それぞれは小額でも合わせれば結構な額になった。

 

件の兄の時とは何が違ったのかと振り返れば、通夜後に残った人数だ。彼の時は親族のみならず、親友と称する人達が十何人も居た。自称親友共が持って来た香典が、彼等にかかった分だけの経費を大幅に超えていたのだ。泊まってまで行ったので、寝具代に朝食代から夜通しの酒盛り代、火葬場へ行くバス関係など細々した追加料金が発生。香典は恐らく友人相場の一人五千円。故人を偲ぶという名目で、宴会旅行されてしまったようなものだ。喪主側の懐事情も考えず、全く迷惑な振る舞いである。故人も得体が知れない部類だったし、まさに類は友を呼ぶとも言えるが……

今回の義父の場合、宿泊して行ったのは十数人の親族のみ。親族の香典は全て一家族三万円から五万円だったので、親族分の経費は最も高額だったバス代まで賄うことが出来た。

そう言えば、私の母の兄弟は、市内の親族は宿泊しないと取り決めてあるそうだ。叔母の夫が亡くなった時、他親族が遠方で来れなかった事情もあり、仲良しの母とその夫の父のみ宿泊し、残りの兄弟は全員市内の自宅に帰っていた。理由までは訊いたことがなく、今時の線香は長時間もつから見守り要員もいらないし、身体が楽だから公平にしているのかと思っていたが、金銭的負担を考えてのことか。

 

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家族葬を選択した私の叔母の話をしておこう。亡くなった夫を自宅に連れ帰ったは良いが、葬儀社が出入りしているのを見られたら最後、近所に話が回って弔問が絶えず、静かに送り出す予定がすっかり変わってしまった。一般葬なら通夜で済むが、家族葬だと部外者には別れの挨拶をする機会がないからだ。

それだけならまだしも、葬儀委員長という出番がなくなった町内会長からお門違いの苦情を言われるわ、親族のみと断っていたのに火葬場へのバスにちゃっかり座ってるわ(強引に降ろすわけにもいかず連れて行った。現地での弁当が足りなくなり、下っ端の私は旦那と共に火葬場の喫茶室で食事した)、その後会う度に話を蒸し返されたりと散々だったらしい。

また、叔母は新聞に載せなかった。叔母夫妻はそれぞれ長く働き、仕事関係の付き合いが広いため、後の返しが大変になるのを恐れたのである。しかし、友人が多いからこそ、知って貰うのは勿論のこと、一般葬にすれば礼もその場で完結させることが出来たし、せめて新聞には事後報告で載せた方が良かったのにと思う。叔母の夫の場合、本当は家族葬は向いていなかった。

 

そう考えると、家族葬は故人や喪主に親類も友人も居ない金持ちに限られるわけだが――それって要するに、ほぼ密葬だよなあ……

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